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被災建物の「滅失登記」国が代行へ 数万円の負担不要に
(2011年04月06日)
東日本大震災で全壊したり、津波で流されたりした建物について、法務省は、所有権を失わせる「滅失(めっしつ)」の登記手続きを職権で進める方針を決めた。所有者本人が手続きすると数万円かかる費用負担をなくし、被災者を支援する。
不動産登記法は、建物が全焼、全壊した場合、所有者本人が1カ月以内に登記をするよう義務づけている。証明書類の作成などを土地家屋調査士に依頼すると平均数万円かかる。
そこで法務省は、被災者の支援策として、各地の法務局が土地家屋調査士会に調査を委託し、職権で登記手続きを進めることにした。復興関連の補正予算案に委託調査費を計上できるめどがつき次第、手続きに入る見通しだ。
全壊、流失した建物の滅失登記をしていないと、土地に新たに建物を建てる際に登記ができず、担保として資金を借り入れることができなくなる。また、元の建物を借りていた人との間で、借家権をめぐってトラブルになる恐れもある。
10万棟以上が倒壊した1995年の阪神大震災で法務省は、神戸市など兵庫県内の9市10町を対象に職権で滅失登記をし、約20億円の予算が計上された。
今回の震災で法務省民事局は、3月下旬から宮城、岩手両県に職員を派遣し、登記所での登記簿の保存状態や被災の状況を調べてきた。6日からは福島県内の調査を始める予定という。
法務省民事局の担当者は「滅失登記が必要な規模は阪神大震災を上回るのではないか。津波で建物が移動しているケースが多く、登記上の建物がどこにあるのか確認が難しい所もある」と話している。
(2011/4/6 asahi.com)