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無断で町道認定、35年放置
大磯町が35年前、旧国鉄が所有する大磯駅前の土地を無断で町道に認定していたことが20日、分かった。ミスが発覚しJR側と認定解除の方向で合意した後も、町が20年以上手続きを放置していたことも判明。ずさんな対応で私権が制限されていた形で、中崎久雄町長は「空白の期間があったことを強く反省している」と謝罪した。
無断で認定されていた町道12号は駅南側の歩道を含む幅10メートル、長さ100メートルの区画で、駅舎前の約3千平方メートルはJR東日本の所有地とされる。町は1984年9月、町道の名称変更名目で町内の計770路線を一括して廃止・認定し、町議会の承認を得ていた。
しかし、12号は所有者である国鉄の了承を得ていなかったことが92年ごろに発覚。町は97年12月に認定を解除することでJR東と合意し協定書を取り交わしたが、その後も見直されないまま現在に至っている。
町道の認定を受けると、私有地であっても道路法の規定で所有者の土地利用が制限される。町は町道認定について「町有地が原則」とした上で、「本来なら町が土地を買い取るなどする必要があった」と説明。協定締結後も解除手続きを進めなかったことについては、「記録が残っていないので理由が分からない」としている。
30年以上が経過して判明した複数回にわたる行政手続きの不備。駅前利用者らへの影響は限定的なものの、町とJRとの間に暗い影を落とし続けてきた。
町は大磯駅前の再整備に向けてJRに要望を重ねていたにもかかわらず、「議論のテーブルに着ける状況ではなかった」(中崎町長)。2015年にJR東との"和解"に向けた協議が動きだしたが、具体的な方向性は「今後、整備計画の中で問題を解決するための方法を模索している」のが実情だ。
一方、20日に報告を受けた町議会も町側の対応を疑問視する。在職20年のベテラン町議は「初めて知った」。高橋英俊議長は「そもそも35年前に770もの路線変更を一括議案として出すのがおかしい。チェックしきれるわけがない」と憤る。
JR東日本横浜支社の担当者は、神奈川新聞社の取材に「多くの町民が駅前広場の道路を利用しており、町道認定の有無で何かが変わることはない」と強調。ただ、町の姿勢に関しては「目くじらを立てるわけではないが、何も気にしていないというわけではない」と語った。
神奈川新聞社 記事から引用